オアシスに向かうバスにて

ラセレナからカラマに向かう長距離バスの中で目覚めると、アントフォガスタの少し手前を走っていた。景色は完璧に砂漠に変わっていた。

 

例えば、トレッキングや山登りの面白さは、数キロの中で自然が変化していくことにあるのだと思っている。標高差や日当たりや微妙な環境の違いで植生が変化したりして、それを感じるのが楽しかったりする。

でも、砂漠というのは逃げ場のないほど平等に陽が降り注ぎ、同様に雨は降らず、進めども進めども砂だけの景色が続く。この長い道のりに疲れた私を癒す、花も動物もいない。あるいはそれは非常に限られたものたちの仕事だ。

それでも、砂の丘は微妙な色の違いを持ち、むき出しのその肌は筋肉の隆起のような生々しい形を見せつける。変化に飢えた私は、その小さな違いにさえ喜びを感じる。何よりそこには生命を超えた生きた自然がある。

そして、向かう先には永遠に砂の丘と淡い青い空が続いていくのが見える。この先に小さくてもオアシスが待っていることを知りながらも、その終わることのない砂漠に不安を感じる。植物も動物も見えないこの砂漠を切り開こうとした人々、ここに街を作ろうと考えた人々は、果てしなく堅強だ。

あるいは、この永遠に続く砂漠の中で、わずかな生命が人々にそこを切り開く決意をさせたのかもしれない。